三ノ輪橋から早稲田まで




 11月30日金曜日、天気は快晴。こういう日は街歩きをするのが良い。都電の全区間を1日で乗ったことが無かったので、今回はそれを実行してみることにした。
三ノ輪橋側から乗るには、JR南千住が近くて安い。宮原から高崎線に乗って、上野で5分の待ち合わせで常磐線に乗り換える予定であったが、早速宮原を出て次の大宮の手前でパッタリ止まってしまい、ちょうど5分遅れで上野に到着したら、次の常磐線は17分後なのであった。
常磐線は流山に住んでいた頃以来なので20年ぶりに近い。いつも大宮からの4つの在来線と新幹線の走る区間を乗っていると、常磐線は並行する線が無いので、上野発といってもすごくローカル感が強い。ちなみに、4つの在来線とは、埼京線、京浜東北線、湘南新宿ライン、宇都宮線と高崎線でひとつの合計4つで、これらはすべて別の線路を走っている。


都電の駅は全部で30もある。今回乗り降りしたのは、三ノ輪橋、荒川遊園地前、荒川車庫前、王子駅前、鬼子母神前、学習院下、早稲田、雑司ヶ谷の合計8駅であった。
先日、仲間うちの投稿で、学生時代にお世話になった食事と甘味の店「一乃瀬」が閉店して建物がシートで覆われていたとの情報があったが、今回訪れてみたらもう建物も無く更地に重機が一台ぽつんと置かれているのみであった。時代の流れとはいえ、見知った店などが消えていくのは寂しいものだと思う。大隈通り商店街を歩いて感じたのは、いわゆる喫茶店が減ってオシャレなカフェに変わり、雀荘はことごとく消滅していたことだ。我々の時代は、この二つと飲み屋が無いと、日々の生活が成り立たないほどであったのだが、時代は自堕落に過ごすよりも、より勤勉なな方向に舵を切ったようだ。ただ、見方を変えれば、かつてほどリアル世界の友人との付き合いが減って、その分スマホでの電脳空間での交遊に切り替わったようにも思える。
集まり散じて人は変われど、仰ぐは同じき理想の光も、もうこの歳ではあるのかないのかよく分からない。




JR南千住駅前の松尾芭蕉の碑。芭蕉はここから奥の細道をスタートさせた。



国道4号沿いにある変わった建物の曹洞宗円通寺。


 

円通寺境内にある旧寛永寺の黒門は、維新時の上野戦争の弾痕が残っているそうだ。



円通寺の隣の真正寺は、浅草から移転してこの地に唯一の門前町を形成したことがあるそうだ。



真正寺の入口にあった、昔懐かしい蔵のある質屋。私の友人にも質屋がいる。



下町風情の残る三ノ輪橋の商店街ジョイフル三ノ輪。



都電(今は東京さくらトラムとも言う)のスタート三ノ輪橋駅。



都電は仕事でも時々乗ったが座ったことは無く、今回初めて座席に座った。



荒川遊園地前で下車すると、300m先の遊園地までバラの咲く遊歩道が伸びている。



遊園地の敷地内に置かれた古い都電の車両。



入場料100円なので入ってみた。実は、ここの営業はこの日までで、明日からリニュアル工事で3年の休業に入るのだ。



池あり橋あり洋風建築ありで、思ったよりも絵になる遊園地である。



昔の小山遊園地を思い出すような、素朴な乗り物の多い遊園地だ。



遊園地の敷地の北側には隅田川が流れていて、対岸は荒川と隅田川に挟まれた島のような小台地区である。



遊園地から一駅先の都電荒川車庫まで歩いた。ここにも古い車両の展示があった。



車庫内には、現役の色々なタイプの車両が出番まで休憩していた。



鬼子母神(きしもじん)に来たのは初めてだ。入口には石の仁王像がこちらをにらんでいる。



本堂のすぐ右手に鬼子母神像があっようだが、知らずに見落としてしまった。



鬼子母神境内にあった武芳稲荷堂(たけよしいなりどう)。


 
稲荷堂のそばには、樹齢700年の太く高い大公孫樹(おおいちょう)が聳えている。



かねてより、学習院沿いの長い坂を都電が走ってくる写真を撮りたかった。
ただ、なかなかベストの撮影ポイントが分からず、踏切の開いた線路上からはこれ1枚だけであった。


 
早稲田方面の学習院下駅からでは、どうしても左右にごちゃごちゃしたものが入ってしまうのである。



終点早稲田駅のすぐそばにあった「一乃瀬」は、もう更地に重機がぽつんと置いてあるだけ。



今の喫茶店は、こういう雰囲気のカフェに変わった。



久しぶりに見る大隈講堂。大学名の入った真っ赤なバスが入ってきた。



會津八一記念博物館は現在休館中だが、未だ入ったことは無い。



演劇博物館全景。こちらも未だ入ったことが無い。英文科の恥さらしで穴があったら入りたい。(^-^;



シェークスピア翻訳の祖、言わずと知れた坪内逍遥像。あったことすら知らなかった。(^-^;


 
そうそうこの人を忘れてはならない。改まって撮ったことなぞ無かったけれど。((+_+))



今はもうかつてのようなタテ看が、構内あちこちに置かれることも無くなったようだ。



大隈庭園にも足を向けてみた。意外にも、園内のモミジの色付きが鮮やかであった。



逆光ではあったが、モミジの向こうに大隈講堂を入れてみた。



モミジの葉はさほど傷んだ感じでもなく、まさかこんな都会できれいなモミジの紅葉が見られるとは思わなかった。
背後のガラス張りの建物は、早稲田生協ガーデンハウスである。



こちらは大隈会館を望みながらの黄色いモミジ。



モミジの木の間にあった十二重の塔はいいアクセントだ。満足して大隈庭園を去り、また都電早稲田へ向かった。



都電雑司ヶ谷で降りてJR池袋駅まで歩く。道路拡張工事をしていて、かつての雑司ヶ谷の感じではなくなった。
豊島区役所のある下の方が変なビルの後方に、サンシャインが見えていた。



最後に池袋駅への途中にあった店。あんまり面白いのでしっかり撮っておいた。


 さすがに我らが母校も、特定の年代ものの建物を除くと、校舎はすっかり近代的な高層の、まるでオフィスビルのような建物に変わってしまっていた。古い建物は、外見だけなら写真の対象にするのもいいが、内部が老朽化していては、勉強をする環境としては決していいとは言えないであろう。歳月が経てば風景も変わっていくのが当たり前だ。
ただ、地方出身者で卒業後は母校が遠くなり、何十年ぶりかに訪れた時に、ひとつでも自分の記憶にあるものが残されていると、その人はきっとほっとするような気持ちになるのではないかと思った。